穏やかな日々というのは、長くは続かないものだ。
 俺は昔からそれを知っていた、はずだったのに。





 手紙を送ってから四ヶ月後、そいつはいきなりやってきた。

 その日俺は、嗅ぎ慣れない匂いを感じ取って目が覚めた。何の匂いだ。嫌なものである事は判る。俺はぼんやりと覚醒しきらない頭で考えた。夜明け前、まだ夜と朝の境目の時間の事だった。ふかふかのベッドに手をつくと、シーツにぬるぬるとした汗がしみ込んで行く。これは…埃と、血の混じった、戦争の匂いだ。戦いと死の匂い。これは、アントーニョの匂いのそれだ。

アントーニョが帰ってくる!

俺は直感的にそう思った。そしてそれは変に実感を伴って胸へと重たくのしかかり、何故か俺は「ついに」と口走った。はそれでも起きなかった。
 と出会って四ヶ月がたった今でも、ついに俺はアントーニョがイスパニアだという事をに伝えられずにいた。しかしの身体を覆っていた緑色の薬草や、しなびた包帯はもう無い。最早の匂いは薬と病の匂いのそれではなく、健康的な若い女のそれと寸分違わなかった。俺は心のどこかで祈っていた。がとっくに、アントーニョを許してあげている事を、どこかで祈っていた。

 そんな甘い話、あるはずがなかったのに。

 「何か来る」この予感。不吉な予感だ。何か、黒くて、禍々しくて、重たくて、恐ろしいものが館のすぐそばまで迫っている。俺はそれが何かは判らなかったが、アントーニョがこの館で牛耳っていた時の感覚とよく似ていた。だから、俺はイスパニアが帰って来たのだと思った。俺の嫌な予感は昔から当たるのだ。アントーニョが帰って来た。ならば、俺はきっとを守らなければならないだろう。其の時の俺には、最早アントーニョとがどのような関係だったかも当然判っていた。だから、だ。俺は一人の男として、を守ろうと心臓を熱く滾らせた。
 俺はをベッドに置き去りにしたまま、寝室を飛び出した。だからその時がぱちりと目を覚ました事を、俺は知らなかった。慌てて廊下に出てみると、醜い原人共である使用人達が、慌てた様子で俺を見た。白い大理石の上で肌の黒い原人が何人も束になって群れている様は、まるで森に群生しているキノコのようで気持ち悪かった。彼らの手は所在無さげに宙を浮いていた。まるで俺に助けを求めているようだった。

「旦那様、今お呼びに行こうと思っていたところです!」
「何だ、騒々しい!何がおこった!?」
「今、到着なされました。南イタリア様を、お呼びになられています」
「アントーニョか!?」
「違います。違います、旦那様…私たちには判りません。恐ろしいものが来ました。カークランドと名乗っております」
「何?」
「あれは、大旦那様ではありません。もう、使用人が一人殺されてしまいました!」

 一人殺された、と知って俺の足は途端に動かなくなった。

「一体何なんだ…賊が入ったのか!?カークランド?誰だそいつは!」
「違います、違うんです、旦那様」

 暗くて表情はよくわからないが、すでに使用人は泣き出していた。よく見れば、いつかの時がフルーツを分け与えていたあの婆のようだった。

様を連れて来いと言っていますが、様を連れていってはきっと殺されてしまうでしょう。旦那様、様をお守りください」

 が、殺される…?
 俺は、無我夢中で走り出していた。

 居間に駆け込むと、一人の男がたたずんでいた。大きな男だ。俺とは全く違う身体付きだ。部屋の明かりは何故か真っ暗に落とされていた。そして俺はそいつの顔を確認する前に、その側に転がっていた使用人の死体を蹴っ飛ばしてしまい、絶叫した。

「うわあああっ」
「おい」

 男は低く唸った。明かりが無いせいで顔は全く判らず、窓から漏れてくる僅かな夜明け前の光だけが頼りだった。仄暗い青い影の中で、そいつの男だけが切り取られていた。

「お前が"ロヴィーノ"か。ガキ」
「…」

 ハアハア、と浅い息が漏れる。俺は惨めにも床に座り込み、上から多いかぶさってくる男の影をただじっと見つめるだけだった。心臓が煩く肋骨を叩く。俺は今にも泣き出しそうだった。

「南イタリアの、ロヴィーノ・ヴァルガス。違うか?違わないのか?あ?早く答えろ。俺は今機嫌が悪いんだ…気も長い方じゃねえ」

 有無も言わさぬ迫力があった。声からしてその男は若いようだったが、この深みは絶対にただの人間ではない。国だ。その時ゴツンと鈍い音がしたが、それは男が遺体を蹴った音のようだった。俺の背骨は可哀想に小さく縮み上がっていた。顔が見たいとも思ったし、見たくないとも思った。ただ、男の顔はとても醜いに違いないと思った。それほどに嗄れ、低い声だった。

「…そ、そうだ」
「此処にという女が居るだろう。そいつを早く出せ」
「な、んで」
「俺はあいつから手紙を受け取った。死んだと思ってたあいつからだ。俺はあいつに早く会わなきゃいけねえんだよ。早く出せ。そいつを出せば、この家は放っておいてやるよ」
、なんて女は、し、ししらねえよ!」
「嘘はいけねえなぁ、坊主。今すぐを出せ。じゃねぇとこの胸くそ悪い趣味の最悪な家を燃やすぞ。おら、早くしろ。ぶっ殺されてぇのか」
「…」
「…」
「…」

 恐怖のあまり口を利けないでいると、男は小さくため息をついてみせた。

「ブリテンのアーサーが迎えに来たって、あいつに伝えろ。それだけでいい。そしたらあいつは此処へすっ飛んで来るだろうよ。早く行け、坊主」
 信じられないようなその台詞に、俺は叫んだ。
「なにっ、アーサー!?お前が、アーサーなのか!?」
「あ?」
が手紙を書いてた…お前が、そんな!」

 がつん、と鈍い音がした後、俺は吹っ飛ばされて床に投げ出されていた。つうと鼻から温かい何かが流れてくる。俺は頭を蹴られたのだと理解するまでに、たっぷり10秒を要した。ゴン、ガン、と鈍い音を立てて転がって行く俺の頭。それにくっついた身体も、壁にぶつかってようやく止まった。

「やっぱりは此処に居るんじゃねぇか」
「ああああっ、痛えっ、痛ええ!」
 痛みに悶えていると、部屋の中が先ほどより幾ばくか明るくなってきている事に気づいた。日の出が来て、地獄のような朝が来たのだ。俺を蹴った男の顔が、真新しい日の光に照らされていく。歪んだグリーンの瞳に、くすんだ金髪、白い肌に、憎しみが籠った皺が寄った鼻。固そうなブーツに、赤い血がしみ込んだジャケットを着た化け物が、そこに立っていた。

「南イタリア、俺はお前が気に食わねぇんだよ。お前らがにした事は俺は生涯忘れねえ。俺の可愛い属国、俺のものだったのに、お前らが勝手に奪って蹂躙した。よりにもよって、イスパニアを助けろと俺に依頼した!無礼にも程があるってんだよ!わかるか!これは最低の侮辱だ!」
 朝日を浴びて化け物は孵る。
を騙したな、くそったれ!そうだ南イタリア、と引き換えだ、お前に土産をやるよ。イギリス土産だ」

 そう言って男は、後ろに控えていた軍人らしき人間にあごで合図をしてみせた。すると軍人共は何か重いものを引きずって来て、床に伏せる俺の前に放って寄越した。重たい音をして落とされた「ソレ」は、麻袋で頭を覆われた男の身体だった。「ソレ」が、何なのか。そんな愚問、俺が抱くはずがなかった。

「ア、アアッ、アントーニョ!!!」
「イギリス土産だ、クソガキ。お前が俺に探して欲しいって、に手紙を書かせたものじゃねぇか。あ?もっと嬉しそうな顔をしろよ」

 アントーニョの身体は何処もかしこも紫や黒色の斑点が出来ており、丸太ほどにふくれあがっており、血と汗と糞の混ざった酷い匂いがした。スラムのトイレよりも酷い匂いだ。アントーニョの身体に付いた赤黒い泥は、美しい絨毯の上に臭い染みをいくつも作っていた。俺でなければきっと「コレ」をアントーニョだと判らなかっただろう。アーサー・カークランドにブリテンでいたぶられたのだ。アントーニョの乗った商船は四ヶ月前、アーサーの船に捕まり、それからずっと、ずっと拷問され続けてきたのだろう。もしアントーニョが国でなければ、とっくに死んでしまっていたに違いない。俺は頭の何処かが爆発するような怒りの衝動を覚えた。

「お前、お前ら…っ殺してやる、殺してやる…!」
「ハハハ、でかい土産だろ?ようやく渡せて良かったぜ。そいつが居ると臭くて臭くて船員室まで臭ってくるンだよ。馬小屋に入れても馬が嫌がるほどだしよ、何度海に放りだそうと思ったか。それでもお前の事を想って、歯を食いしばって鼻を摘みながら持ってきてやったんだ。感謝しろよ」
 その時、部屋に駆け込んで来る人間が居た。そんな人間なんて、一人に決まってる。今一番この部屋に居ちゃいけない人間だ。俺も男も、引き寄せられるようにその人物を見た。
「ロヴィーノ!何があったの!?」
「だめだ!入って来るな!」
じゃねぇか、迎えに来たぞ!ほら、早くこっちに来い!」
 の名前を愛しげに呼ぶその男の顔は今までの鬼のような顔とは打って代わり、恍惚とした笑顔に変わっていた。そのおぞましい変化を俺は目の当たりにして、継ぐべき言葉を失うほどだった。
この男、気が変だ。どこかおかしい。

「何、何なの、アーサー!?どうして此処に!?」

 男は何も言わず駆け寄ると、を愛しげに抱きしめてみせた。後頭部をしっかりと掴んで自分の胸板に押しつけ、そのてっぺんに何度もキスしてみせた。俺にしっかりと見えるように。

「お前が手紙をくれたろ?だから迎えに来たんだよ。おら、お前を嬲りやがったイスパニアもこの通りだ。俺が仇をとってやった。な?見てみろ、もう殆ど息をしてねえ」
「どういう事なの…?」

 この光景が、一番ショックだった。今まで俺の頭を蹴っていた男の腕の中だというのに、は慣れた様子で、全くそこから出てこようとはしなかったのだ。俺は蹴られた時よりも大きな衝撃を感じた。胸がばりばりと割けていくようだった。どうして、そこを動かないのだ。そいつは俺を蹴り殺そうとしたクソ野郎だ!だというのに、何故だ!!

、お前、そこの南イタリアの…ロヴィーノっつったか?このガキに強要されて、俺に手紙を送ったよな?アントーニョを探してくださいって、書いたよな?そこに転がっている"ソレ"が、その"アントーニョ"だ。顔は見えねえが、わかるだろ?イスパニアだよ。イスパニアは、"アントーニョ"っていう人間名を名乗っていたんだ。この糞ガキはそれを黙って、"お前"にイスパニアを探させようとしていたんだ。判るか?俺はあの手紙を受け取って、お前が可哀想に騙されている事を知った。こんな慈愛に満ちあふれた文面は、きっと"アントーニョ"がただのイスパニア人の船乗りで、前途有望な若者で、南イタリアのけなげな"人間の"友人だと、信じ込んで書いたものだ。俺にはすぐ判ったよ、。俺がお前を愛しているから、判った事だ」
「え…!?なに、嘘、嘘っ、嘘でしょ!?」
「違わない。残念ながら真実だ、。この糞ガキは、"アントーニョ"にお前が何をされたのか知っていながら、お前を騙して、お前にアントーニョを探させた。酷い話だ。やり方が卑劣だ。何よりもお前を侮辱している。お前がイスパニアによって地下牢に幽閉され、毎日毎日陵辱の限りを尽くされ、殴られ、犯されまくっていた、その事を知っていながら、コイツはお前にイスパニアの命を救って欲しいと頼んだんだ」
「ちがう!ちがうんだ、!!」
俺の絶叫が空しく部屋に響いた。
「コイツはお前が俺と関係がある事を知っていて、頼んだんだ。コイツは全部知ってたんだ。俺に探してもらえれば、見つからないものなんてないからな。楽にコイツの主人は見つかるに決まっている」
「そんな…」
「イスパニアの人間名を知らなかったんだろう?。じゃないとお前はこんな馬鹿な事しないはずだ。コイツはお前を騙した。俺に頼んでイスパニアをまんまと海から救い出した後、コイツはすぐにでも家に呼び寄せるつもりだったろう。でも俺はそうはしなかった。手紙を読んで、俺は全てを理解した…俺はアントーニョを地下牢に放り込み、お前がされたであろう事をそっくりそのままアントーニョに返した。当然だ。コイツは周囲の国々の全てを焼き払い、人を殺し、黄金を取り上げ、疫病を世界中にばらまいた。俺がコイツの所業を知らないとでも思ったか、ガキ。俺はコイツにはほとほと迷惑してたんだよ。こいつのせいでいくつの国が駄目になったか…もその中の一人だ」
「ち、ちがう…トーニョはそんな事しない…」

 は目に涙を溜めて男と俺を見比べていた。俺のせいだ。俺は、が"アントーニョ"の正体を知らせないまま、"アントーニョ"を探させた。助けさせた。とても酷な事をした。酷い事だ。俺は馬鹿だ。ごめん、ごめんな。俺は泣きながら床に額をこすりつけた。

の生い立ちを知ってるか、ガキ。は美しい島国だ。綺麗な海と鉱物資源があって国自体は豊かだった。だがある日突然、あいつがにこにこしながらやってきて、国を焼き払い、宝石や金を奪い、をこの館に連れて来た」
「え…?」
「その後あいつがコイツにした事は先ほど俺が言った通りだ。口にするのもおぞましい。そしての国から奪われた資源はこいつのこの館の使用人になり、食い物になり、酒になり、綺麗な大理石になり、豪華なシャンデリアになったという訳だ。お前やイスパニアがふかふかの温かいベッドで寝ている間、コイツは冷たい地面の上でムカデやゴキブリと一緒に寝ていたんだよ!」
「アーサー、やめて…」
「うそだ…あいつはそんな事はしない…!いいヤツなんだ!優しいんだ!やめてくれ、やめてくれよお」
 俺は涙に喘ぎながら懇願した。
「何かの間違いだ…あいつがそんな酷い事を皆にするはずがない…きっと王様に命じられて、やった事なんだ…」
「間違い?これが間違いか?」

 男はそう言うと、の腰を抱いたまま、拳大ほどもある袋を懐から取り出した。男がその袋を揺らす度に、中でカチカチと何か固いものがぶつかり合う音がした。俺はそれから全く目を離せなかった。見てはいけないものだと判っていたのに、俺の目はその袋に釘付けだった。あの袋には何かとんでもないものが入っている。そうに違いなかった。
 男はさっと袋の口の紐を緩めると、袋を逆さにした。ざあっと音がして、中からたくさんの輪のついたブロックのようなものが落ちて床に散らばった。そのうちの一つがころころと転がって俺の手元まで転がってきた。指でつまみあげると、何処かで見たような国の紋章が象られた判がついた指輪だった。俺は呆然として男の足下に出来た指輪の山に目をやった。は指輪の山から目をそらし、男にすがりついて泣いていた。

「この数が、間違いなのか?」

 100程あるエンブレムの山を男は冷たく見下ろしていた。俺はアントーニョの身体の側で呆然と男の顔を見返した。何もかも冷たかった。がどんな顔をしているのかは見えない。彼女の顔を見る勇気も俺には残されていなかった。おもむろに、男は山の中から一つだけ、金色の指輪をつまみ上げた。金色をした指輪は、それだけであった。

「ほら、…お前のだ。お前の国で採れた金で作った指輪だ。これを持って帰ろう。欲しかったろう?」
「アーサー…」

 男はそう言うと、はその指輪に手を伸ばした。しかし男は、あと少しでの指が触れそうなところでぱっと手のひらをひらめかせ、指輪を握りしめると、彼女から奪うようにしてジャケットのポケットの中にソレを入れた。男はいやらしく笑っていた。手を伸ばしたまま固まるが、静かにしゃくりあげ始めた。

「"俺"が、持って帰ってやるよ」

 それからどうやって二人が去ったのか判らない。何度も男がにキスをして、そのうち何処か館の奥の方へ消えていった事はかろうじて覚えているが、それからの一切を覚えていない。俺はしばらく動かないアントーニョの身体の側で泣き崩れていた事しか、俺は覚えていない。二人はいつの間にか館から消えていた。俺がアントーニョの側で泣き崩れている間、あの男はを、寝室と、地下牢に連れて行ったらしかった。寝室は誰のものとは判らない血痕で汚されていた。花瓶が全て割られていた。シーツは切り裂かれ、家具やランプに綺麗に留められていた宝石は跡形も無くえぐり出されていた。ベッドの上には、それに使われたと思われるナイフが落ちていた。ベッドはとてもいやなにおいがして、何かで濡れていたから、アントーニョはベッドをすぐに捨て、寝室そのものを丸ごと放棄してしまった。地下牢も荒らされていて、中に捉えられていた多くの捕虜は全員殺されてしまっていた。しかし積み上げられた死体の中に、のそれは見当たらなかった。

 きっと多分、は男の国であるブリテンに連れていかれたのだろう。があれからどうなったのかは知らない。誰に聞いても、彼女の事は知らない。アーサー・カークランドはその後、アントーニョと戦争をした。アントーニョは負け、家は解体した。アントーニョはその時になって、ようやくエンブレムのついた指輪を俺に返した。それからアントーニョはあれから永い永い時間をかけて少しずつ元気を取り戻したが、内戦と戦争で世界中から煮え湯を飲まされ続け、結局かつての栄華は取り戻せなかった。アントーニョの家がうまくいかなくなってから、俺は家に無事に返される事になった。俺はそれを喜び、恋焦がれた弟とようやく一緒になる事が出来たが、結局一緒の家で住んでいるうちに段々ガタが出て来て、世界でたった一人の肉親との仲は悪くなってしまった。

 アーサー・カークランドはあの後にエンブレムを返したのだろうか。俺にのあれからの運命を想像する事は出来ない。俺には救えなかった。俺がもし、もっと色んな事を知っていて、大きな勇気を持っていたのなら、俺はきっとを連れ出してあの館から逃げ出していただろう。俺はたまに目を閉じ、あの高い天蓋を思い出す。と眠ったあの小さなベッドを思い出す。

 あの頃は、目が覚めれば使用人の持って来たオレンジと肉を食べ、の歌う不思議な調べに耳を傾けていた。その場に居もしない"アントーニョ"との楽しい日々を語り、と一緒に彼が家に帰って来たら何をしてあげようか考えていた。

 数百年経った今でも、俺は誰かのすすり泣く声を聞く。それでももうあの日々には戻れない。